表面層状構造をもつ頭部モデルによる吸収電力の周波数選択性 頭部モデルへの電磁波電力の吸収メカニズムを明らかにするために,1次元層状モデルに対する伝送 線路理論解析,及び同心球層状モデルと実際に近い頭部モデル(リアルモデル)に対する3次元FD TD解析を行っている.まず,1次元層状構造をもつ頭部モデルに平面波が入射したモデルを伝送線 路理論により解析し,脂肪,骨,及び脳組織を考えたモデルでは,2.6GHz付近で脂肪と骨の層 がインピーダンス整合層として働き,頭部のSARが大きくなること,皮膚や筋肉層を考慮すると整 合条件から外れるために周波数選択性が低減されること,筋肉層における電力吸収が大きいことを明 らかにしている.また,同心球層状モデル及びリアルモデル近傍にダイポールアンテナが置かれてい る場合について3次元FDTD解析を行い,アンテナが人体から4分の1波長程度以上離れていると きには,1次元モデルと同様な結論が得られることを示している.更に,組織ごとに求められた平均 SARはいずれのモデルにおいても,皮膚よりも筋肉が大きく,筋肉層がシールド層のように働いて いることを示している. 社団法人電子情報通信学会
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